KKのボイスドラマ体験記24:2009年02月14日

 
そんなことよりちょっと聞いてくださいよミナサン!
 先日ね、企画運営について、きゅうさんが3年ほど前に我々の間で話題になったような気がする懐かしい話を持ってきたのですよ。
 
 声優さんとかに発注したデータを、どのように送受信するか、すべきかっていう話だったんですがね? それをいまだに何年もまえのきゅうさんと同じ勘違いをなさっておられる方が多いんだよね、というようなお話で。
 
 その前に、その「ファイルの送受信」についてのきゅうさんの過去の勘違い、というのがどういうものだったのかを再現披露しましょう。
 KKが、例によって「どんな方法でも相手からファイルがきっちり届きゃいいんだよ」的なことを言っていると、きゅうさんが「サーバーアップ」が業界標準だって言うんですよね。
 以下文字上のやり取りの抜粋(要約していますので実際の内容とは若干異なります。このやりとりはノンフィクションですが限りなくフィクションに近いです。実在の団体・組織・個人名とはおそらくほとんど関係がありません/画像代理:KK=キサラギ、きゅう=キュレィでお送りいたします(笑))。
 
いやだから、募集側がファイル受け渡し手段として、要項に“サーバーアップ”と書いたってことは、ファイルアップローダーでもなんでも、直接手渡しとかでなけりゃオッケーってことでしょ?
なんでそんなことになるんですのよ! “サーバーアップ”と言ったら“サーバーアップ”ですのっ!
 KKさんの言ってるそれは自前のサーバーじゃなくアップローダーでしょ? そういうのはサーバアップとは言わないんですのよ。アップローダでの提出も普通はタブーですの!
……なんでそうなるのよ(汗)
なんで、ってそれが常識ですのよ! 
そうでなければ非常識ってやつですのよ!!
いやだって、ファイルアップローダも“サーバー”経由しているじゃん?
してませんのよ!
自前のサーバーじゃなくてそれは“アップローダ”を使ってますのよ!
……アップローダでもなんでもいいけど、ファイルそのものは、送る人のPCから、そのファイルアップローダを提供しているサービス会社の用意したファイルサーバに転送して保存しているわけだからさ
……???
……あの、もしかして、ファイルアップロードサービスとかって、どうやってファイルをやり取りしているかくらいは分かるよね?
……そ、それくらいは、分かってます、のよ……たぶん(視線逸らし)
ファイルアップローダーって、送る人のPCから小人さんがファイルを持っていってくれて、受け取る人に渡してくれるんだよねー
そうそうそうなんですのよ!
んなワケねえだろ(ちょっぷ)

 

ぎゃふん!
ファイルアップローダを提供しているサービス会社も、結局はそのサービス会社が用意したファイルサーバーに送り側がファイルを保存して、受け取り側がそのファイルサーバーにアクセスすることで目的のファイルをダウンロードしているという点で、立派な“サーバーアップ”だよ
……??
図解すると、ファイルをアップローダ経由でアップロードするというのは、

 

 

送付側PC

Webブラウザや
FTPクライアント
によるファイルの
アップロード操作

ファイルサーバーの一領域で保存

という流れなわけだ
 
ふんふんふん
要するに、送り手のPCから直接に受け取り手のPCへファイルを送っているのではなく、

×

送り手

サービス会社

受け手

 

サービス会社の“ファイルサーバー”を経由してファイルを送っているってことになるでしょ? 
だから、ファイルアップローダーだろうが自前のサーバーだろうが、“サーバーアップ”は“サーバーアップ”ってこと
……えええええ!!(ガーン)
サーバーアップ”っていう定義だけなら、メール添付も“サーバーアップ”だよなぁ
ええええええ!! そ、それはいくらなんでも違……
違わない。
送り手が、SMTP“サーバー”を経由して、受け取り手がPOP“サーバー”を経由してメールに付いたファイルを受け取っている。結局、直に送り手と受け取り手がつながっているわけではなく、どこかの“サーバー”に保存(アップロード)されたファイルを手に入れているんだから、メール添付だって立派な“サーバーアップ”だ
……でもそれってただの屁理屈じゃないですのぅ……?(じとー)
屁理屈だろうがなんだろうが、“サーバーアップ”という言葉だけなら、相手がどのように受け取ってもおかしくはない広義過ぎる定義だから。
それをもってどの方法が常識だとか、それ以外が非常識だとか言っているほうが非常識。
ファミレスのドリンクバーにあるジュースサーバーの上にファイル保存したディスクを乗っけたって“サーバー経由”なのでサーバーアップ、って言い張りたいくらいだ
……KKの屁理屈野郎――!!(ビンタ)
ぐははははうぎゃああああ(どかーん)

 

 
要するに、“サーバーアップ”という漠然とした定義だけでは、それをもって、どこかの第三者のアップローダサービスを経由しようが、自前でサーバーを立てていようが、どれかを必ず示すなんていう「常識」はないということです。
 その昔、コンピュータ全般を「計算機」と呼んでいた時代を知っている人から見ると、計算機=電卓のみが「常識」だとか言われると大変困ります。っていうかいまだにコンピュータ全般を「計算機」と呼んでいるところや若者もいるので、必ずしも昔だけの話ってわけでもないのです。
 昔はコンピュータ=計算機と呼んでいたので、今もパソコンや携帯電話はすべて「計算機」と呼ばなきゃ非常識、とか言っている人見たら普通にデムパですよね?
 “自前サーバーアップ”にしても、どこまでが“自前”なのかの定義がなければ、相手が勘違いしないとも限りません。ルーターやモデムより内側(LAN側)に自分で建てたサーバーを、外側(WAN側)に一部公開している状態のことなのか、個人が一定期間、占有的に有償・無償で他者のサーバー領域の一部を確保していることなのか、自前でファミレスに置いてあるみたいなジュースサーバーを用意しているのか(それはもういい)、ともかくいろいろな形態があります。
 なので、不特定多数にファイルをやり取りする場合は、どんな方法でもよいというような寛大さや余裕がない人ほど、具体的なファイル転送サービス名を固定するとか、有料系レンタルサーバー以外はダメとか、LAN内に自前サーバー立ててWAN側に公開できちゃっているようなサーバー以外受け付けませんとか(いるのかそんなん)、要望がある人ほど具体的に明示すべきだというのが「常識」でしょう。
 具体的な要望がかなり細かくあるのに、それを出さずにぼかしておいて、相手に空気を読めと強要するのは、「車でお越しください」と書いておいて、ワンボックスカーで来るのは非常識だ! とか言っているようなものです。
 ただし、「誰がどこからどう見ても軽自動車しか入らない」駐車場しかないというのが明らかに事前に明示されているのに、大型バスで乗り付けてくるというのは非常識ですので、募集している側がどんな様子なのかということを、応募する側もある程度は確認しておく必要があるのは言うまでもありません。
 しかし、Web上のやり取りのみとなると、地図などであらかじめ確認できる駐車場などと違って、相手がどれほどの(物理的・精神的・寛容性的)余裕があるのかまったく見えない場合がありますから、やはりそこは募集する側が応募してきてくれる側にエスパー空気読めデムパを出す前に、一言「無料系ファイルアップローダー経由の送付は受け付けません」とか「FTPクライアントで接続可能な有料系サービスのサーバー領域以外はお断りします」とか、要望がある人ほど要求を具体的に書くべきでしょう。
 というか、募集している側が、応募してくれる側に言外の要求をしておいてそれが常識、とか言っているのって、激しく非常識な行為に見えるのですがいかがでしょうか。

 とはいえ、今や有料系サービスと言っても、「さくらのレンタルサーバー」なんかでは月額125円とかで500GBもの領域を借りられる時代なので、制限が多い無料ファイル転送サービスを使うよりは、送り手自身が自分で有料系レンタルサーバーを借りるくらいの投資はすべきでしょう。
 月額125円とか500円とかの出費すら痛いというような学生さんや未成年は最初から募集から除外するかどうかというようなことも、募集要項を考えるにあたって重要な要因になると思います。
 何でもアリにすれば、相応に何でもアリな幅の応募が来るというのは当たり前のことで、そこにいちいち非常識だなんだと怒るなら最初っから制限付けとけよっていう話です。
 未成年や学生さんを対象に企画を運営するリスクくらいへいちゃら、想定済みですよーてな人でなければ、募集要項はなるべくコピペ右へ倣えではなく、具体的に要望を挙げるべきです。それが分からない方は調べるだろうし、調べなければ応募できないというような人を自動的に排除することにもつながります(それがよいか悪いかはまた別の問題でしょうが)。
 
 ――的な、もう何年も前から我々の間では合意されていたような「常識」も、きゅうさんによれば、どうもこのボイドラ業界(の企画者側論理)では「非常識」らしいんだそうで。
 「サーバーアップ」の定義がなぜか異様に狭いのが常識、とか言っちゃっている人は、募集要項などに「サーバーアップ」なんて書かずに、
 
 「受け取り側がねー、いつでも無制限に、パスワードも転送量制限もなく自由に簡単に受け取れるサービス経由してファイル転送してこないと非常識ってことにしますので、 受け取り側に(のみ)配慮しまくりの方法で送ってくれないとイヤン」
 
 的に書くべきでしょう。
 うちの企画なんかは、ファイルが確実に届くことをそのものを最優先で見ていますので、モノさえ届けばメール添付でも「サーバーアップ」でもファイル転送サービスでも何でも構わないのです。
 ええ。うちの近くのファミレスのジュースサーバーの上をブツの受け渡し地点にするってことでもいいですよ(してどうすんだよ)。

 E-mailの場合、1回の添付ファイルの容量が10MBとか30MBとかに制限されているサービスは多いですし、SMTPサーバー経由はメガバイト単位のファイルを送るためには適していませんので、そういう場合は、「http経由でもアクセスできる自分専有ディスク領域を確保しておき、そこにアップロードしたファイルを相手が任意にダウンロードできるようにしておいたほうが、ボイドラ活動をする上で将来的にもみんなにとって楽ちんですよ」的なことを知らない人に教えるというのはそれほど大変なことではありません。
 むしろ、こういうことこそ、「初心者向けのボイドラ参加講座」みたいなのに載せるべきではないでしょうか。しかもこの種の「常識」とは、技術の進歩によって1年や2年で劇的に変化しますので、あまり「常識」だなんだと振りかざさず「今どきはこうしたほうが双方にとってお得」というふうに互恵につながる情報を共有していくというのが適切だと思っています。
  
 思うに、「サーバーアップ」という語句も、大昔からこのボイドラ業界内で何も考えられずに右へ倣えでコピペ的に使いまわされていただけの特殊用語と化しているような気がします。
 数年前、10MBのファイルをアップロードするのにかかる時間やコストは、今の何倍もかかっていました。無料系サービスを使う以外に選択肢がないという人も多かったでしょう。が、たった数年前ではそれが常識でも、1,2年で大きく事情が異なっているようなことは枚挙にいとまがありません。
 なので、あまりにみみっちいケツの穴の小さい「常識」を振りかざす前に、双方によりよい手段はどんなものがあるだろうということを考えていったほうが、他人の手を借りることによってのみ成立するボイドラ制作に寄与するのではないでしょうか。と思ったお話。