第一種軍装
戦闘服とは異なる、正装用の軍装。儀仗兵などが装着する「特種正装」の一つ下にあたる、一般的な将兵が着用する正装。兵、下士官は長めのつば付きの規格帽を装着し、将校はつばが短く左右に広い将校用制帽を装着する。制帽、スーツ、ネクタイ、ワイシャツ、靴下、革靴、ベルトが官給として支給されている。色は、公国軍の場合、陸軍は白や緑を基調にしたもの、親衛軍は黒、といった軍ごとの色が設定されている。
第357号慰安所
公国暦580年11月まで、軍事都市カディスの南区11番地に存在していた軍公認の慰安所。軍の特別指定慰安施設で、カハラが実質的に影の経営者として君臨していたらしい。キサラギ二等兵が「魂の洗浄」を行なったのはこの4階にある404号室。二泊の利用代金は軍人の割引料金で70ティザだった。ルームサービスの食事は3食で20ティザ。いずれもキサラギ二等兵の故郷マイカ村より高いらしいが、それでもカディスの物価では半額近い安値。公国暦580年11月7日午後、火災によりほぼ全焼する。
大隊
軍隊における部隊を編成する単位の一つ。ティザン陸軍では一つの大隊は4個中隊256〜512名で編成される。大隊長には、通常、大尉が就く。
第7軍
カディアナス男爵領を中心として編成された北部防衛の要である軍団キサラギ=カシュウスが初陣時に配属されていた。公国暦580年前後の時期には第7師団、第61師団の二つの師団から編成されていたが、第7師団師団長であり軍団長でもあったザシャト少将による離反事件を受けてその後大幅に組織改編された。キサラギ=カシュウス初陣時、マシマ少尉とティニガ伍長の会話に「二つの師団が二つとも、師団長以下幕僚参謀の大半が貴族サマだぞ」というところがあったことからして、すでに貴族人事の限界を思わせる要素があった。
第800歩兵小隊
キサラギ二等兵が初陣後に配属された特殊部隊。表向きには、第7軍第800師団所属ということになっているもよう。部隊章は白い大きな牙が目立つ灰色の狼を象ったものだが、800という数字などは一切表示されていない。
第613混成歩兵中隊
キサラギ二等兵公国暦580年11月17日早朝に訪れたカディアナス男爵領フスト村を防衛していた少年兵部隊。最初に接触した村入り口のバリケードで防衛していた眼鏡の少年兵は、小銃の安全装置を解除することを忘れていたほどの、実戦未経験者ばかりの部隊。ザシャト少将が家族を連れて共和国側へ離反したとの情報が噂として流れていた。
第601混成歩兵中隊
キサラギ二等兵が初陣で配属された第7軍第61師団に所属する歩兵中隊。通称混成601(ろくまるいち)。公国暦580年冬当時、カディスで練成された混成600番台の歩兵中隊は、混成歩兵中隊と言えど、その実態は2カ月間程度の短期間の訓練を受けただけの少年兵が主力を担う粗製乱造部隊に過ぎなかった。
第608混成歩兵中隊
ナユタ二等兵が初陣で配属されたとされる部隊。通称混成608(ろくまるはち)。
魂の洗浄
(1)兵役期間中、休暇時に異性と性交渉に浸ることにより心身の負荷を放散させることの俗称。 (2)初めて兵役に就く者が実戦に参加する直前、任務外で異性と性交渉を行なう最後の機会。男性においては、半ば儀式化している。
ダン軍曹
男性。日焼け肌、短く刈り上げたこげ茶髪、口髭、顎ひげを蓄えているが、ボサボサ。いつも茶色の瞳、身長197cm、筋肉質、公国暦555年生まれ。公国暦580年11月17日、第800歩兵小隊の伍長としてリンド少尉と共にエンフィンティアナ奪還作戦に参加していた通信兵。無口だが、言葉に出さず細やかな行動に出るタイプの男。カナのよき理解者であり、カナのブレーキ役でもある。フスト村に到着後、軍曹に昇進する。無電、通信機、電話などの通信機器の扱いに長け、暗号技術などにも長ける。
誕生日
1)キサラギ=カシュウスの27歳の誕生日。公国暦564年第8の月29日生まれ。キュレィの誕生日が近かったことから、ともに誕生会を開いた。その際、キュレィからはルーンが施された戦闘用小刀を贈られ、キュレィには今まで長年装備して使ってきた戦闘用小刀で彫ったキュレィの戦乙女姿を模った木彫り像を贈った。 2)ティザン公国北部カディアナス男爵領やその北部国境地帯では、誕生日に贈答品を贈るという習慣はない。むしろ、公国暦580年前後のキサラギ家では、兵隊として志願できる下限年齢である16歳に近付くことを嫌う母と義姉サキが誕生日そのものを恨む傾向にあった。
チア
カイが抱いていたうさぎのぬいぐるみ。
中隊
軍隊における部隊を編成する単位の一つ。ティザン陸軍では一つの中隊は4個小隊64〜128名で編成される。中隊長には、通常、少尉か中尉が就く。
ツァザーン
男性。身長188cm、筋肉質、色白、黒髪、こげ茶の瞳、公国暦580年11月、ウォティス親衛軍中尉の副官として彼に付き従う親衛軍軍曹。声が凄まじく大きい。
ディアド曹長
公国暦580年11月17日未明の戦闘で、カナキサラギ二等兵らを離脱させるために囮となって全滅した隊を率いていた分隊長の一人。
ティザ
ティザン公国における通貨の名称。
ティザス
ティザン公国の首都
ティザス=ティンディシア
ティザン公国の大公家一族の名称。いわゆるVIP。
ティザン公国
正式名称は、ティザン大公国。ティザン公爵が治める国家が周辺領主と「大領主会議」を開き、ティザン公爵を中心として北方の脅威に足並みを揃えて対抗することを目的として建国された連合国家。
ティニガ
本名ティニガ=ウァザル。男性。日焼け肌。銀髪。青い瞳。公国暦580年10月29日のキサラギ=カシュウス初陣時における最初の上官の一人。公国陸軍伍長。公国暦555年生まれ。軍事都市「カディス」 から、北部国境地帯の最前線へキサラギ二等兵たちを運んだ下士官キサラギ二等兵ケントを逃すために自ら囮となり、戦死。死の直前、「聖女さま」の姿を見ることができた人物。享年25歳。
ディル
公国暦580年11月17日未明の戦闘で、カナキサラギ二等兵らを離脱させるために囮となって全滅した第800歩兵小隊所属の指揮官の一人。戦死時少尉。
天上山脈
アーティク大陸を東西に分断する巨大山脈。最高8,000mクラスの山が連なる。
電探
電波探知器の略。いわゆるレーダーのこと。ティザン公国でも共和国でも試作段階にこぎつけたものの、実用段階には入っていないという。
電話
ティザン公国における電話の普及率は低く、とくにマイカ村では村長の家のほか数件にしか電話は配備されていなかった。豪雪地帯であるため、高山地帯では電線の確保が難しかったが、それを別に軍用の通信線は地中に埋設するという方法で普及が広がりつつあった。一方、カディスのような都市部では電話の普及率が高く、上下水道沿いに電話線が張り巡らされていた。都市部では、第357号慰安所のように、建物内専用の内線通話が可能な電話機が普及していた。
動員兵
満18歳の徴兵検査のときに法律上の義務として動員されてきた兵士のこと。また、兵役が終わって退役後、再度召集された兵のことも指す。
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